170204 キャバレー
台本 ジョー・マステロフ
作曲 ジョン・カンダー
作詞 フレッド・エブ
翻訳 目黒条
上演台本・演出 松尾スズキ
出演
長澤まさみ 石丸幹二 小池徹平
小松和重 村杉蝉之介 平岩紙/秋山菜津子
片岡正二郎 花井貴佑介 羽田謙治
齋藤桐人 乾 直樹 楢木和也 船木 淳 笹岡征矢 岩橋 大
丹羽麻由美 香月彩里 谷 須美子 エリザベス・マリー 田口恵那 永石千尋
シアタードラマシティにいったらやってなくて慌ててチケットみたらフェスティバルホールだったというハプニングがあったもののなんとか間に合って観劇。
決め曲の後の拍手がどうも苦手。
拍手してるって、芝居に対して少し客観的な位置にいるような感じで……。
もっと没入するような感じで見たいから拍手入ると距離が狂うんだよなー。
この日はとても拍手が多かった。
気持ちはわかるんですけどね。
手を叩いて喜ぶような芝居でもないと思うし
もう少し静かな不気味さとか不安感とか味わいたかった。
特に今見るとナチ台頭前夜の雰囲気はあまりに生々しいのよね。
アメリカ人がユダヤ人差別するの嫌だといってベルリン逃げ出すのはなんの皮肉だって感じやけど。
初演の阿部サダヲの怪演に比べると石丸幹二はとても落ち着いていて全く違う雰囲気やった。多分芝居全体の雰囲気もかなり落ち着いてたと思う。キャバレーの狂態も上品だったような。
丁寧に作られていたんだと思う。
長澤まさみと小池徹平のカップルより秋山菜津子と小松和重のカップルの方が主役に見えた(年のせいか?)
小池徹平はむしろ状況の観察者に過ぎず、傍観してるだけの印象。もう少し二人の間にか寝切実さがあってもよさそうやけどな。でもどうせ拾った恋だしなー。
長澤まさみはとはいえとても頑張ってた。難しい役よね。無邪気で奔放なだけでもあかんし、諦観し過ぎてもあかんし。一瞬で虜にする魅力は必要やし。安っぽいと安くなるし。
果敢に挑戦してる感じがして好感もてました。もっと色んな役やってほしいな。
一夜の夢のような構造は、扉をくぐると夢の世界、朝になって店を出ると現実、というキャバレー的な世界をそのまま表している。この芝居自体がキャバレーの出し物のような。だから無邪気に拍手してればいいのかもしれない。
僕らにも、一歩外に出たらひどい現実が待っている。それを見ないように劇場の中だけを見て生活することはできない。
MCが去ったのか、僕らが放り出されたのか。
ただよう煙がいつのまにか空気に溶けてなくなるような、蜃気楼のような終わり。