凡汁日誌

じわっとしみでる凡人の汁。食べ物、芝居関係が多くなるかと。

地点 スポーツ劇160317

地点 KAAT スポーツ劇。
ネタバレあり。

スケートのハーフパイプのように舞台奥に向かってアールのついた芝生。手前にはネット。

登場人物の交わらないモノローグが延々続く。
何かの競技の話か戦争の話か。
早々から両者のイメージは深くシンクロしている。
パパ、ママと繰り返される言葉。
どちらも呪縛のように感じる。
叫び声のような呼び方には拒絶と渇望を同時に感じる。
時折鳴る爆撃のような音。

通奏低音のように奏でられる音は後半君が代になり行進の足音にもなる。入場か軍靴か。

役者は常に反復横跳びをしながら語る。
後半も身体的な接触はありながら対話らしい対話は生まれない。いつもの地点もそうであるけど、イェリネクの本は更にそうなのか。

キネクトの前で動くと、背景に棒人間が動く。バグのように時折痙攣しながら。代替可能のイメージか。
ラスト全ての登場人物が倒れて暗闇の中、自動でそれが動き競技のような殺し合いの暴力のようなものが繰り広げられるシーンはえぐい。

ひたすら動かされる、死んだように倒れる、のろのろと動き出す。その繰り返しはやはりスポーツの熱狂と戦争の熱狂がミックスされたよう。
ネットは境界かテレビのモニターか。

視覚と聴覚が身体の深いところで感覚をゆっくりとしかし大きく揺さぶる。

随分前の戯曲と読んだが、今の東京のために書かれたように感じる。熱狂に隠された(隠そうともしない)戦争への行進。

始まってしまえば、観客が拍手をしたいタイミングでは終わってくれない。容赦なく繰り返される。

アーツカウンシル東京の金でやってたらもっと面白かったのにな。

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